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美容皮膚医学BEAUTY 第59号(Vol.8 No.1, 2025)
A4変型判/96頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-91059-7
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特集
●とことん,接触皮膚炎
企画編集/関東裕美
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日常診療で接触皮膚炎(かぶれ)は皮膚科医のみでなく,多くの医師が遭遇することがある皮膚炎である.発症経過から急性・慢性,臨床像から刺激性・アレルギー性,またまれではあるが原因物質に光線が曝露されて発症する光毒性,光アレルギー性の症例がある.強感作物質の曝露が続いてしまうと全身性に拡大増悪し,職業性関与があると慢性遷延性になり重症化してしまう症例もある.日常生活のなかで私たちの皮膚に直接接触する物質のみでなく,空気中に飛散する物質の接触でも発症し,患者が原因を把握している場合もあるが,種々の検索をしても原因確認が難しいことも多い.想定外の原因により慢性化し,色素沈着型症例,白斑型症例の報告もある.また,種々の皮膚疾患や内臓疾患の影響で皮膚のバリア機能が正常でなくなると,接触皮膚炎発症リスクが高まってしまう.さらに,既存のアレルゲンによる接触皮膚炎に加え,豊かな生活のなかで新たに種々の化学物質が私たちの身の回り製品に使用され新たな化学物質が原因で接触皮膚炎が発症する可能性がある.本特集は,この古くて新しい接触皮膚炎について,「とことん」(徹底的に)追及し,まとめたものである.
新しいアレルゲンの追求はパッチテストにより確認できることがあるので,日本接触皮膚炎研究班(JCDRG)ではパッチテスト普及目的に日本各地でパッチテストハンズオンセミナー(皮膚アレルギー検査手技の指導)を行ってきた.現在では皮膚科学会総会をはじめ支部総会でもパッチテストハンズオンセミナーと題し多くの皮膚科医が参加する機会が増えてきている.また毎年開催される日本皮膚免疫アレルギー学会でJCDRG班員が交代で本邦の標準アレルゲンパッチテスト陽性率を報告している.数年来,上位5種アレルゲン陽性率はほぼ変わりなく,金,ニッケル,コバルト,パラフェニレンジアミン,ウルシオールである.金属アレルゲンの陽性率が上位を占めるのは世界的な動向であるが,欧米では香料アレルゲン,殺菌成分アレルゲンが上位を占めるのに比べ,本邦では染毛剤アレルギーとウルシアレルギーが特徴的であるということになろう.
本特集では比較的新しく報告され啓発したいと思う報告を選択して原稿依頼をお願いしたつもりである.専門的に熱心に原因追及に取り組んでくださっている先生方の投稿原稿を私も読者として興味深く拝読させていただいた.多くの先生方に的確な情報を提供できたものと確信している.
関東裕美
(稲田堤ひふ科クリニック)
I.総論
1.接触皮膚炎/中田土起丈
2.接触皮膚炎症候群と全身性接触皮膚炎/伊藤明子
II.各論:化粧品
1.染毛剤皮膚炎の多彩な臨床像と原因検索について/西岡和恵
2.オールインワン化粧品による接触皮膚炎/中田土起丈,杉山真理子
3.メイク製品によるアレルギー性接触皮膚炎/峠岡理沙
4.化粧品皮膚炎─原因成分の追求について─/角田孝彦
III.各論:医薬品
1.医薬品と化粧品の共通成分によるアレルギー性接触皮膚炎について/神部玲
2.市販外用薬による接触皮膚炎/伊藤 崇
3.痔疾患用外用剤による接触皮膚炎症候群/金子華子
IV.各論:家庭用品
1.界面活性剤による接触皮膚炎/飯島茂子
2.アクリル樹脂による接触皮膚炎/渡部裕子
3.ストッキングによる接触皮膚炎/竹原友貴
4.家庭用品による接触皮膚炎─製品分析で原因確認できた症例について─/足立厚子
5.奄美大島における植物性接触皮膚炎について/馬場まゆみ
6.職業性接触皮膚炎/杉浦真理子,杉浦啓二