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137号
レジデント第138号

AB判96頁
定価2,500円(本体2,273円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-81138-2
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特集日常臨床に役立つ アレルギー疾患の診断と治療

企画編集/多賀谷悦子
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 アレルギー疾患の患者数は急速に増加しており,全人口の約2人に1人がなんらかのアレルギー疾患に罹患しているといわれている.アレルギーは就学や就労への障害,また生命の危険を脅かすショック症状を引き起こすことから,社会的問題にもなっており,医療関係者のみならず,国民の関心は高まる一方である.
 アレルギー疾患は多岐にわたるため,内科,小児科,皮膚科,耳鼻咽喉科,眼科の各分野が連携して診療に当たることになるが,1人の患者を包括的に診療することが重要である.どの科においても,アレルギーに関する問診,幼少期からのアレルギー疾患,病状を把握することが必須である.アレルギーで苦しんでいる患者や家族は,日常生活にも支障をきたし,エビデンスのない民間療法に飛びつき,病状が悪化することがしばしば起こっている.そういう状況で,医療人として,学生や研修医の皆さんが,正しい,そして最新の知識を習得し,適切な対応を身につけてほしい.
 今回,アレルギー診療の基本であるアレルゲン検査について,そして,通常診療でよく遭遇する,花粉症,通年性アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,食物アレルギー,気管支喘息(小児・成人)や鎮痛剤によるNSAIDs過敏喘息,死亡に至ることがあるアナフィラキシーや,最近,話題になっている口腔アレルギー症候群について,スペシャリストの先生がわかりやすく解説している.
 アレルギーの分野は飛躍的に進歩している.アレルギーの診断に最も重要なIgE抗体は,1966年に石坂公成,照子夫妻により発見され,世界中で測定されている.アレルギーの分野では日本人がたくさん活躍しており,トランスレーショナルリサーチが行われ,分子標的薬が開発され,疾患の予後が改善している.基本病態が解明され,20〜30年で治療も変化している.以前の常識が非常識になり,各疾患のガイドラインが次々にバージョンアップされ,喘息では小児の死亡率は0となり,成人でも,この15年で3分の1に減少している.
 2014年6月にアレルギー疾患対策基本法が制定された.気管支喘息,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,花粉症,食物アレルギーなどのアレルギー疾患の患者が多数存在しており,生活環境でのさまざまな要因で発生,重症化するために,国としてもアレルギー疾患に取り組んでいる.アレルギーの分野に関する知識,需要は高まるばかりでなく,出産,子育てを経験する女性のみならず若手の医師には,いかにアレルギーを予防していくか,また適切な対応や治療を知ることは有用である.また,この特集を読んで,アレルギーの疫学研究・基礎研究・臨床研究に興味を持ち,皆さんの進む道に,新たな展開をきたすかもしれない.
 アレルギーは,私たちの生活のなかで最も身近に起こる現象であり,生活の質が著しく損なわれることで,生活に多大な影響を及ぼす可能性もある.この特集では最低限の知識,最新の知見,そして実践に役立つ内容を記載した.


多賀谷悦子
(東京女子医科大学 内科学講座 呼吸器内科学分野 教授・基幹分野長)

特集日常臨床に役立つ アレルギー疾患の診断と治療
1.アレルゲン検査/伊藤 潤
2.花粉症/櫻井大樹
3.通年性アレルギー性鼻炎/太田伸男
4.アトピー性皮膚炎/井川 健
5.食物アレルギー/佐藤さくら
6.気管支喘息(小児)/滝沢琢己
7.気管支喘息(成人)/岩永賢司
8.NSAIDs過敏喘息/上出庸介
9.アナフィラキシー/廣川尚慶,平田博国
10.口腔アレルギー症候群/矢上晶子